公開
鍛造の指輪は、大きく分けて「叩いて鍛える」「火を入れる」「削って形を整える」「磨いて仕上げる」という流れで作られます。溶かした金属を型に流し込む鋳造とは違い、金属の塊に圧力を加えて内部を緻密にしながら、少しずつリングの形へ近づけていくのが鍛造の作り方です。
ennowa のトップページでは、この流れを次の4つの言葉でご紹介しています。
- FORGE——叩き、鍛える
- ANNEAL——火を入れ、締める
- SHAPE——削り、整える
- POLISH——磨き、仕上げる
この記事では、それぞれの工程で金属に何が起きているのかを、一般的な金属の性質とあわせて順にご説明します。
そもそも鍛造とは
鍛造(たんぞう)は「鍛えて造る」と書く製法です。高温で加熱した金属の塊を、ハンマーやプレスで繰り返し叩いて成形します。
叩くことで金属内部の気孔が押し潰され、結晶の粒は細かく均一になります。こうして密度が高く、歪みに強く変形しにくい素材が生まれます。鍛造の指輪の強度は、鋳造比3〜5倍とも言われるほどです。
一方の鋳造は、溶かした金属を型に流し込んで形を作る製法です。複雑な形を作りやすいのが長所ですが、冷えて固まる過程で内部に小さな気孔が残ることがあります。製法ごとの違いは「鍛造と鋳造の違い」で詳しくご紹介しています。
01 FORGE——叩き、鍛える
最初の工程は、金属を叩いて鍛えることです。
高温で熱した金属を金床(かなとこ)の上に置き、金鎚で叩く。ennowa の「鍛造とは」のページでも、「高温で熱した金属を、職人が金鎚で叩き鍛える。叩くたびに組織が締まり、強くなる。」とご紹介しています。
叩くと、金属の中で何が起きるのか
金属は、目に見えない小さな結晶の粒が集まってできています。熱した金属に繰り返し力を加えると、内部の小さな空洞は押し潰されて閉じ、結晶の粒は細かく整えられていきます。その結果、金属の組織は緻密になり、密度の高い素材ができあがります。
鍛造の工法はひとつではない
ひとくちに「叩く」と言っても、鍛造にはいくつかの工法があります。
| 工法 | 特徴 |
|---|---|
| 鍛冶鍛造(ハンマー鍛造) | 職人が金鎚で叩いて成形する伝統工法。槌目(つちめ)の表情や有機的な風合いが生まれる |
| プレス鍛造(型打ち鍛造) | 高圧プレス機で金型に打ち込む。寸法精度が高く、品質が安定する |
| 鍛造材からの削り出し | 圧延・鍛圧で鍛えた材料からリングを精密に削り出す。複雑な断面も造形できる |
ennowa の10デザインは、それぞれの意匠に合わせてこれらの工法を選び、組み合わせて生まれています。どの工法であっても、緻密に鍛えられた素材を用いることは共通です。
ennowaの鍛造リングは全国11の正規取扱店で試着できます近くのお店を探す →
02 ANNEAL——火を入れ、締める
2つ目の工程は ANNEAL(アニール)。日本語では「焼きなまし(焼鈍:しょうどん)」と呼ばれる熱処理です。
なぜ途中で火を入れるのか
金属には、叩いたり曲げたり延ばしたりして変形させると、だんだん硬くなっていく性質があります。これを加工硬化と呼びます。硬くなった金属は粘りが失われ、そのまま加工を続けると割れやひびの原因になりかねません。
そこで、加工の途中で金属を適当な温度まで加熱し、一定時間保ってから冷ますのが焼きなましです。熱を加えることで、加工によって生じた内部のひずみが取り除かれ、ひずみのない新しい結晶が生まれ直します(再結晶)。こうして金属は再び加工しやすい状態に戻ります。
叩くことと火を入れることの繰り返し
鍛造は、叩いて組織を締め、火を入れて整え、また叩く——という繰り返しで進んでいきます。ennowa がこの工程に「火を入れ、締める」という言葉を添えているのは、熱を加えることも、強く締まった環をつくるための大切な一歩だからです。
- 金属は叩くと硬くなる(加工硬化)
- 硬くなりすぎると割れやすくなるため、途中で焼きなましを行う
- 焼きなましで内部のひずみが取れ、再び加工しやすい状態に戻る
加熱の温度や時間は、金属の種類や目的によって異なります。プラチナや金など、素材ごとに適した条件があります。
03 SHAPE——削り、整える
鍛えた素材がリングのかたちになったら、次は細部を整える工程です。
ヤスリで形を整え、表面をならし、幅や厚み、指に触れる内側の丸みなどを仕上げていきます。鍛造材からの削り出しでは、ennowa の「鍛造とは」のページにあるとおり、「緻密に鍛えられた鍛造材から、リングの断面をミクロン単位で造形する」ことができます。指あたりを決める内甲丸(うちこうまる)のような立体的な形も、この工程で生まれます。
鍛造は寸法精度が高い
鍛造は、加工中の金属の流れを制御できるため、寸法精度の高いリングに仕上げられます。ennowa では、これが「指に吸いつくような着け心地」につながるとご紹介しています。
ennowa の「鍛造とは」のページには、「仕上げの最後は、職人の指先。着け心地は数値と手の両方で確かめる。」という言葉も添えられています。
04 POLISH——磨き、仕上げる
最後の工程は、表面を磨き上げることです。
細かな研磨材で傷を取り、表面をなめらかにしたあと、布製の回転する研磨具(バフ)で磨き上げて鏡面に仕上げます。槌目などの表情を残す場合も、仕上げの磨きによってリングの印象は大きく変わります。
高密度だからこそ、鏡面が深く映える
鍛造材は密度が高く、表面が緻密です。そのため、磨き上げた鏡面が深く美しく映えます。ennowa の「鍛造とは」のページでも、「高密度な鍛造材は、バフで磨き上げた鏡面が深く映える。」とご紹介しています。
また、硬度が高いため日常使いでの細かな傷がつきにくく、輝きが長持ちしやすいのも鍛造リングの特長です。
工程を知ると、指輪の見え方が変わる
| 工程 | 言葉 | 金属に起きていること |
|---|---|---|
| FORGE | 叩き、鍛える | 気孔が押し潰され、組織が緻密になる |
| ANNEAL | 火を入れ、締める | 加工で生じたひずみを取り、再び加工できる状態に整える |
| SHAPE | 削り、整える | 寸法や内側の丸みを精密に仕上げる |
| POLISH | 磨き、仕上げる | 緻密な表面を鏡面などに磨き上げる |
鍛造は職人の手間と専用の設備を必要とするため、鋳造より価格が高くなる傾向があります。ennowa では、Pt900 14万円台〜のリングをご用意しています。
サイズは「交換」で考える
緻密に鍛え上げられた鍛造リングは、あとからサイズを変える「サイズ直し」ができません。ennowa のリングはサイズ交換対応です。購入前に取扱店でじっくり試着して、サイズを確かめておくと安心です。
まとめ
- 鍛造の指輪は「FORGE(叩き、鍛える)→ ANNEAL(火を入れ、締める)→ SHAPE(削り、整える)→ POLISH(磨き、仕上げる)」の流れで作られる
- 叩くことで気孔が押し潰され、組織が緻密になる
- 叩くと硬くなる金属を、焼きなましで整えながら成形していく
- 高密度な素材だからこそ、寸法精度が高く、鏡面も深く映える
ひとつひとつの工程を知ると、指輪の輝きの奥にある時間が見えてきます。鍛造についてさらに詳しくは「鍛造とは」を、ennowa の全10デザインは「コレクション」をご覧ください。実際のリングは、全国11の正規取扱店で手に取って確かめていただけます。
